とあるカーディーラーに「クルマを売らない」トップセールスがいるという。カーディーラーは車を売ることが仕事なのに、車を売らない!?それでいて販売シェアを増やしているとはどういうことなのか。
カーディーラーの常識を覆す取り組みを始めて5年でシェアが3%増加した、東愛知日産自動車の「劇場型営業」について、体現者である20代のトップセールスの久世氏と、彼にノウハウを伝授した東愛知日産自動車(株)代表取締役の青木氏が、考え方や思いを語り合いました。

東愛知日産自動車株式会社代表取締役
青木 宏将
東愛知日産自動車株式会社 代表取締役


大手広告代理店、起業、日産自動車を経て、2005年から現職

東愛知日産自動車 営業
久世 翔太
東愛知日産自動車株式会社 豊橋下地店
営業課 兼 経営企画本部
カーライフアドバイザー


2018年入社

お客様との一瞬の間合いから心理を読み取る「劇場型営業」

久世:
当社が掲げる「劇場型営業」は剣道に例えることができます。お客様との距離感を大事にしつつ、一瞬の間合いをきっかけに一点を深く掘り下げ潜在ニーズを探っていき、最適な提案を導き出します。
青木:
実はご来店されたお客様は、このクルマを購入したいとシナリオを決めていらっしゃることは少ないものです。私たちは、お客様がほしいクルマを詰めていない状態でご来店される中で、もやもやしているものや、違和感を見つけ出していきます。
そして、ご来店時の「今日は様子を見に来ただけ、買うつもりはない」「どのクルマが自分にふさわしいのか」といった様々な想いに対して、心理的なアプローチをし、帰られる際にはポジティブな意味で想定外の最適解が出ているようなご提案をする営業スタイルです。
青木:
私が東愛知日産で働き始めた頃の販売方法は、お客様に商品説明をして、値引きの条件を出して買いますか?といった調子で、押し売りに近く、しかも売ったら売りっ放しで、このような販売方法で果たして良いのだろうかという疑問がありました。
値引き額次第で買って頂けるかが決まるというのは、営業の提案力が低いことの証明なんです。そこで、お客様を巻き込んで、双方向のやり取りができるスキルを磨こう、評価しようと考えました。
2015年から販売方法を変える取り組みを始めました。最初は現場から反発されましたし、混乱が起きて売上げも下がったため、途中で軌道修正した取り組みもあります。しかし、取り組む中で徐々に、安くすることがいいことだという考え方から今の「劇場型営業」の考え方へと変革をしていきました。久世君の入社当初は、劇場型営業という言葉はなかったよね?
久世:
言葉はなかったですね。ただ、就職活動時に他の自動車販売会社の方から、東愛知日産がユニークな取り組みをしていると聞いていました。
それまでは、カーディーラーは同じ商品を扱っていて、どのお店を選んでも横一線で同じだろうと思っていました。ところが、東愛知日産の話を聞いてみると、他社とは違う、人に寄り添うカーディーラーだと感じ、いち・・お客様目線で興味を持ちました。

東愛知日産 営業

青木:
他社にバレないようにやっていたけど、バレていたんだね。(笑)
久世:
バレていましたね。(笑)
私としても、お客様に同じ車種を提案する時に、クルマをたくさん買ってもらっている人には値引きをして、初めて買う方には値引きが少ないような売り方は、やっていて面白くないです。お客様の潜在ニーズを探り当て、最適解を提案することでご納得いただき、喜んでくださる―そんな劇場型営業のスタイルができてこそ、何よりもやりがいがあります。

劇場型営業の実践

久世:
今となっては、信頼して頂いているお客様がいるのですが、最初は「嫌われているのかもしれない」と思うほど、全く打ち解けることができませんでした。
青木:
どういう瞬間に、嫌われているのかもしれない、と感じたの?
久世:
その方は前任の先輩から私が引き継がせてもらったお客様で、先輩がとても信頼されている姿を見ていました。ところが、私との会話では言葉の数が少なく、質問に対しても一言で返答される状況だったんです。
それまでに担当していたお客様とは、ぐっと一気に距離を縮められていたのですが、そのきっかけが掴めず、もやもやした気持ちを持っていました。
青木:
これまでのお客様にできていたことが、できなかったんだね。
どんなきっかけで、お客様に信頼されるようになったの?

東愛知日産 営業

久世:
点検など半年に一度のご来店時に、こつこつと距離を縮めていく中で、ある時、お客様のお仕事について会話をする機会がありました。
教師をされている方で、卒業式の準備の話題に触れた時に、お客様の言葉の数がとても多くて、今までクルマの話をしていた時と全然違う会話の弾み方だったんです。
それまでは私から一方的に話をして、一言で返されるような状況だったのですが、そのきっかけ後は会話が増えて、提案にも多めに言葉を返してくれるようになりました。

お客様との距離感を大事にしていたからこそ生まれた、まさに、一瞬の間合いを見逃さなかったことで、お客様に信頼をして頂くことができたんだと思います。

お客様とカーライフアドバイザーの関係性

久世:
お客様とは、営業としてというよりも、むしろ知り合いみたいな会話が増え、お客様のご家族の話や、時には私の生活の話もできるようになりました。
また、先ほど紹介したお客様が長く乗られていた車の車検が近づく中で、クルマを乗り替えようか悩んでいました。しかし、お客様がその時に乗り替えたいクルマがなかったこと、私としても、年数が経ったという理由だけでクルマを乗り替えるのはナンセンスと考え、積極的に乗り替えを提案せずに、古くなったナビだけ交換するという提案をしました。
青木:
お客様はその後、ナビを変えて乗り続けていたんだね?
久世:
そうです。その後、お客様のクルマが事故にあったというご連絡を受け、対応をお任せいただきました。修理すれば直る傷でしたが、お客様がクルマに乗り続けることを迷っていたため、その迷いを一緒に深掘りしました。
お客様が車検の時に乗り替えなかった理由は、今までは新型が出た際に買い替えてきたことや、ボディー色などへのこだわりもあり、乗りたいクルマがなかったためでした。ところが、「ナビを変えて乗り続けようとしたタイミングで事故にあったというのは、車から乗り替えてほしいって言われてるのかなぁ?」と言われたんです。
青木:
それが、お客様からのシグナルだったんだね。
久世:
はい、乗り替えのシグナルだと感じました。その後は交換したばかりのナビの移設などに配慮しながら思いを聞き、双方の歩み寄りから乗り替えの商談に入ることができました。

東愛知日産 営業

青木:
なんで双方の歩み寄りになれたんだと思う?
久世:
お仕事の話を通じて信頼を築いていたから、お互いにコミュニケ―ションができたのだと思います。もし、信頼を築いていなかったら、一方的な提案になっていたと思います。
私の意見も伝えるけれど、お客様からも意見を出してもらえるような関係性になれたので、狙って商談しようという感じでなく、本音を引き出すことができ、お客様が納得するクルマに乗り替えて頂くことができました。

お客様に気持ちよくクルマを買って頂くために

青木:
自分のプライベートの消費行動で、客という立場で仕事を考えたことはあった?
久世:
あります。深いお付き合いをしているスーツの仕立て屋さんがいます。営業をされることはほとんどないですが、いつも私の期待を超えた提案をしてくれるので、ついつい財布の紐が緩み、予算を超えてしまいます。
私たちの仕事でも、お客様の8割くらいは予算以内でクルマを購入することよりも、予算オーバーしても良い買い物をすることを大事にしていると感じます。
そこで、仕立て屋さんがやってくれたことと、自分がお客様にやりたいことは一緒だと気付きました。
クルマを買ってもらいたいのは勿論ですが、お客様に「良い買い物ができた」と思ってもらえるようなスタッフでありたいと思っています。
そのために、人、商品、対応、コスパなど、お客様が考えているたくさんの価値観の基準に対して、商談の中で配分を読み取りながら、それに合うような提案をして、ただ買うのではなく、気持ちよく買ってもらう努力をしています。
青木:
なぜ劇場型営業に変えていきたかったのか、というところに繋がったね。自分がお客様だったとして、してほしいことはどういうことだろう?と考えて東愛知日産で劇場型営業を始めました。
クルマ屋は同じ商品を扱っているのに、繁盛店とそうじゃないお店の違いが出てしまうのは、売り方が違っているからなんだよね。
お客様に気持ちよく買ってもらうために、お客様をよく見て、その人その人のライフスタイルや価値観に寄り添った未来予想図という最適な提案をする。これが、お客様も僕たちも一番気持ちいい。
今回、久世君が劇場型営業を実践し、お客様が久世君と自分の想いを共有したくなるようなポイントにちゃんと共鳴できて、最適な提案ができたことで、久世君とお客様が気持ちのいい関係になれたと感じました。

東愛知日産 ショールーム

東愛知日産自動車株式会社では、豊橋市・豊川市の3店舗にてカーライフアドバイザー(営業職)を募集しています。
求人ページについても、是非ご覧ください。

東愛知日産自動車株式会社求人ページ

会社概要
会社名 東愛知日産自動車株式会社
代表取締役 青木 公貞
住所 愛知県豊橋市下地町字操穴43番地
TEL 0532-53-1171(代表)
HP https://ni-higashiaichi.nissan-dealer.jp/