夏至_無花果田楽

皆さんは夏至に行事食を食べましたか? 冬至にカボチャを食べると良いとされるように、夏至にも地域ごとに伝わる食材や行事食があります。

筆者の住む愛知県では「無花果田楽」を食べるとネットに書かれています……身の回りでは夏至に無花果田楽を食べている様子はありませんでした。

この記事では地域ごとの夏至の行事食と、謎に包まれる「無花果田楽」をご紹介します!

そもそも夏至とは?夏至の行事食を地域ごとに紹介

「冬至のカボチャ」ほど全国に広く浸透してはいないものの、地域ごとに「夏至に食べると良いとされているもの」があります。

どの地域でも旬だったり季節の事情ならではの食べ物が夏至の行事食として伝わっているようです。

例えば、関西地方なら「新小麦を使った焼き餅」が夏至に食べられます。これは農家が米と小麦の二毛作をしているケースが多く、豊作祈願の気持ちが込められているそうです。

ここでは地域ごとの代表的な夏至の行事食と、簡単なレシピをご紹介していきます!

関西地方 タコ

夏至は田植えの時期と重なり、夏至から11日目にあたる「半夏生(はんげしょう)」までが田植えを終わらせる目安とされています。

関西地方ではこの半夏生にタコを食べる風習があり、これは稲の根がタコの足のように四方八方へしっかり根付くようにという願いが込められています。

また、この時期のタコは旬の食べ物でもあります。関東地方と同じく豊作を祈願した行事食ですが、土地柄が出ていますね。

【簡単レシピ】タコとメカブの和物

ぶつ切りにした茹でダコを味付きメカブと和えるだけ。お好みで薄切りにした水気を切ったキュウリや、ポン酢を加えてください。

静岡県 冬瓜

「収穫すると冬まで日持ちするから」というのが名前の由来で、初夏から夏にかけて旬を迎える冬瓜。

水分を多く含み、身体を冷やす冬瓜は夏の食べ物としてぴったりです。

現在は全国的にも夏至に食べるものとして浸透しつつありますが、特に静岡県で夏至に冬瓜を食べる風習が根付いているようです。

【簡単レシピ】冬瓜の煮付け

冬瓜は皮や中ワタを取り除いて大きめの一口サイズに切ります。鍋に水と白だしで煮汁をつくり、とりひき肉とおろししょうがと火が通るまで煮込んだら水溶き片栗粉でとろみをつけて完成です。

冬瓜の煮付けレシピ

福井県大野市 焼き鯖

同じく半夏生のタイミングで焼き鯖を食べるのが福井県大野市。少なくとも江戸時代からの風習とされており、現代でもこの時期になると多くの方が焼き鯖を買い求めます。

福井県といえば鯖が有名なイメージは確かにありますが、内陸にある大野市でこういった風習が根付いたのは当時の藩主がが西側の沿岸部も統治し鯖を内陸まで送っていたからと言われています。

(参考 | 文化庁認定100年フード「半夏生さばの食文化」

【簡単レシピ】大葉と焼き鯖の混ぜご飯

白ごはんに細切りにした大葉、ほぐした焼き鯖、白ごまを混ぜ合わせ、お好みでしょう油を少し垂らします。脂の乗った鯖がサッパリと食べられます!

愛知県はイチジクの田楽を夏至に食べる?

地域に伝わる夏至の行事食について、「愛知県は無花果田楽を食べる」という情報を見つけました。しかし、愛知県在住の筆者ですが、そういった話は聞いたことがありません。

愛知県は大きく名古屋市のある尾張地方と筆者の住む三河地方で文化が違いますが、どうやら無花果田楽とやらを食べる地域はハッキリとしていないようです。

「もしかしてガセ?」という思いもありつつ、関連情報を調べてみました。

愛知県はイチジクの産地だけど…

全国シェアの約20%を生産する愛知県。その中で安城市や碧南市が管轄となるJAあいち中央が生産量1位、知多半島が生産量2位となっています。

地図で見ると愛知県のちょうど真ん中くらいで、名古屋とも筆者が住む地域ともそれなりの距離があります。それならば知らなくてもおかしくないかも……と思ってエリア内に住んでいる人のブログなどを調べたところ、イチジクの産地である安城市や常滑市の方も「無花果田楽なんてものは知らない」のだとか。

さらに指摘されていたのが、「夏至の時期はイチジクの旬ではない」という点です。たしかに露地栽培のイチジクは8月からが出荷シーズンで旬は秋、ハウス栽培でもない限り夏至の時期にはイチジクは出回っていません。

一説によると、「イチジクは梅雨時期に実をつける品種もあるが、日持ちしないため市場には出回らず産地で消費していた」というものもありました。この説が確かならば、イチジクの産地である愛知県で夏至の頃にイチジクを田楽にして食べていた可能性もありますね。

田楽は豊作を祈る文化

一方で「田楽」とはもともと田植えなどの際に笛や鼓を鳴らして舞う日本芸能のひとつ。その姿が豆腐の串焼きに似ていることから、豆腐に味噌等をつけて焼いたものを「田楽焼」と呼ぶようになりました。

愛知は味噌の産地でもあり、豆腐だけでなくさまざまな食材の田楽焼きは現代においても地域に馴染み深い食文化です。

他の地域がそうであったように、田植えのシーズンである夏至に食べるものは豊作を祈る文化に基づいているものが多くありました。イチジクだったかはともかくとして、田楽料理を夏至の行事食として食べていた可能性は大いにあると考えられます。

夏至には豊穣を祈る&栄養満点の食べ物を

夏至栄養満点食べ物

地域によってさまざまな風習のある夏至の行事食。多くはその土地の特徴を現しながら田植え時期の豊作を祈る食べ物であることがわかりました。

しかし、愛知県の無花果田楽については真偽のほどがわかりませんでした。それでもイチジクが愛知県の名産で、かつ「不老長寿の果物」と言われるほど栄養が豊富なのは事実です。

福井で夏至に焼き鯖を食べるのは夏バテ防止という説がありますが、鯖も旬は秋ですから、イチジクも新しい夏至の文化として旬を待たずに食べてみるのもありかもしれませんね。