みなさんは『エベレスティング』というチャレンジをご存じでしょうか?
今回、この過酷なチャレンジを田原市にある蔵王山でチャレンジしてきたので、その様子を紹介していこうと思います!
エベレスティングとは?
エベレスティングとは獲得標高がエベレストの標高と同じ8848mになるまでひたすら坂を往復するチャレンジです。
このエベレスティングは、1994年ジョージ・マロリーが自転車で獲得標高8848mを達成したことがきっかけで始まりました。
ジョージ・マロリーと言えば「そこにエベレストがあるから」(日本では「そこに山があるから」としばしば誤訳されている:wikipediaより)というセリフを残した登山家が有名ですが、エベレスティングを達成したジョージ・マロリーはその同名の孫です。名前が一緒でちょっとややこしい…
エベレストには人を惹きつける不思議な力があるようです…僕もその被害者の一人となりました(←誉め言葉です笑)
※獲得標高:登山やクライミングではスタート地点とゴール地点の標高差のことを獲得標高と言うが、自転車では累積標高(登った標高の合計)のことを獲得標高と言う。
例:スタート地点とゴール地点の標高差が150mでも、標高100m登り、標高50m下る。また標高100m登った場合の獲得標高は200mとなる。
ルール
公式ルールをまとめると以下
- 獲得標高が8848m以上
- 同じルートを往復すること
- チャレンジ中は睡眠を取ってはいけない
制限時間はないため眠りさえしなければどれだけ時間をかけてもOKですが、仮眠がとれないため成功率を高めるためには時間をあまりかけすぎないようにしなくてはなりません。達成までにかかる平均時間は約24時間とされています。
達成すると?
公式サイトにてエベレスティング達成者として殿堂入りを果たし、達成者のみが購入できるジャージなどの購入権を得ることができます。
ちなみに、今回僕が挑戦したシングルエベレスティングの日本で達成された回数は413回です。同じ人が複数回チャレンジしていることもあるため達成したことがある人数となると400人以下だと思われます。(2023年2月21日時点)
シングル以外にも倍の獲得標高が必要なダブルや獲得標高10,000mが必要な10kなどエベレスティングの中にも様々な種類があり、マニアとなると毎年チャレンジしたり複数種類のエベレスティングの達成を目指したりと上には上がたくさんいます(-_-;)
挑戦のきっかけ
SNSでエベレスティングというチャレンジがあることを知りましたが、あまりにも過酷だというのは明白でチャレンジする踏ん切りがつきませんでした。ですが、SNSで「○○いいねされたら○○します!」というのが流行ったときに、自分も「フォロワーが1000人超えたらエベレスティングします!」と条件を付けて発信したらまさかの条件を満たしてしまい、今回チャレンジすることになってしまったというわけです。みなさんもSNSでの発言には気をつけましょう…
コース
蔵王山裏(東側)のコースで挑戦
コースデータ | 距離2.89km・獲得標高207m・平均勾配7.1% |
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必要となる往復回数 | 8848m÷207m=42.74… 43往復 |
予定走行距離 | 2.89km×43×2=248.54km |
1往復25分前後、休憩込みで22時間での達成が目標です。
チャレンジの様子
深夜1:00にチャレンジスタート!12/24
この日は寒波の影響で気温は2℃、また暴風のため体感温度はかなり低くチャレンジの条件としては最悪です。約3kmの下りでかなり体が冷え、下りきるころには指の感覚はほとんどありません。
こんな時期にチャレンジするなんて正気じゃない…1往復目でリタイアの4文字が頭に浮かびました…
応援その1
街灯のほとんどない暗い山道を一人でひたすら往復するという孤独感にメンタルをかなり消耗していたころに、チャレンジを聞きつけたローディー(ロードバイク乗り)が応援しに来てくれました!
誰かと話しながら登るだけで山頂までがあっという間に感じられかなりラク!重かった足がくるくる回ります!まだ頑張れる!
まさかの降雪
8:30頃に雪が降ってきました。予報では晴れだったのに…
幸い積もるほど降らずに止んだためチャレンジ再開しましたが、あまりの寒さとキツさに12往復したところでメンタルが折れてしまいました。
ここまでの走行距離は約70km、獲得標高は2484m。全体の約28%とまだまだ先は長いです。序盤で諦めるわけにはいかないため、なんとか気持ちを切り替え再び登り続けます。
応援その2
13:30頃に愛知大学自転車部の方々が応援に来てくれました!痛み止めや栄養ドリンクなどを差し入れていただきメンタルと体力がかなり回復!
さらに、東三河のローディーが豊橋のソウルスイーツ「ピレーネ」と足が攣るのを予防する漢方を差し入れてくださりました!
たくさんの人に応援してもらっていることを実感すると同時に、絶対にチャレンジを達成しなくてはいけないと気合が入りました。
日没
あっという間に日が暮れてしまいました。冬至から2日しか経っておらずかなり日は短いです。暗くなると孤独感が増してメンタルが削られていきます。なにより寒い…。
応援その3
19:30浜松からローディーが応援に来てくれました。この時間帯の応援にはかなり助けられました。満身創痍ですが止まると寒いので、ゆっくりと確実に獲得標高を稼いでいきます。
睡魔と幻覚に襲われる
チャレンジ開始から24時間が経過し睡魔と幻覚に襲われ始めました。極限状態に追い込まれるとガードレールや標識がしゃべったり踊り始めます…。
ズタボロの体に鞭打って1本全力で登ったことで目を覚ますことができ、なんとかチャレンジ続行することができました。
応援その4
ゴールに合わせて愛知大学自転車部が応援に来てくれました!
残り3本ラストスパートをかけていきます!動け!足!!!
朝は路面が少し凍結していました
8:00についにエベレスティング達成!12/25
過酷な戦いを終え天を仰ぐこたつ
経過時間はなんと31時間…!当初予定していた22時間を大幅に超えての達成です。確実に人生で一番キツイ挑戦となりました。
サイクルコンピュータのログをアップロードしてみると、なんと余分に3本登っていることが発覚…あと450m(3往復分)で獲得標高1万mの大台に乗せられたと思うと少しもったいない気もしますが、目標だったエベレスティングをトラブルなく無事達成することができました!
エベレスティングを終えて
エベレスティングはとても過酷なチャレンジですが、今回は多くの方々に支えられなんとか達成することができました。
達成直後は苦行から解放された喜びと達成できた安心しかありませんでしたが、こうして振り返ってみると、何度も諦めそうになりながらも最後まで挑戦しつづけたということが自分の中でとても大きな自信となりました。
東三河ではトライアスロンやマラソン、サーフィンなど様々なアクティビティが盛んに行われているため、自分もそういったチャレンジしている人を積極的に応援していきたいと思いました。
ちなみに、2023年6月にはアイアンマン70.3東三河ジャパンin渥美半島が開催されるそうです。70.3とは距離のことで70.3マイル≒113kmをスイム・バイク・ランで駆け抜けます。
東三河は渥美半島の他にも蔵王山や本宮山などサイクリングコースが豊富な地域です。
みなさんもぜひ自転車で色々なところを走り、東三河の魅力を再発見してみてはいかがでしょうか?