愛知県豊橋地域での新産業創出を掲げ、多種多様な事業を行う「株式会社サイエンス・クリエイト」が、豊橋技術科学大学から2人の実習生を受け入れました。2人とも起業に興味があるとのことで、サイエンス・クリエイトが運営する創業支援施設「Startup Garage」で起業のノウハウについて学んでいるみたいです。
この記事では実際にStartup Garageにおじゃまして、実習生の2人と監督の方に実習についてインタビューしていきます!
「Startup Garage」についてはこちらの記事で紹介しています。是非、こちらも併せてご覧ください。
株式会社サイエンス・クリエイトって?
豊橋市に本社を構える第三セクター(行政が出資して設立された株式会社のこと)で、東三河から新規産業を創造するという目標の下、様々な機関と提携して1992年の設立以来34年もの間産業の振興を推し進めてきました。その事業内容は幅広く、人材開発や起業支援等からクリーンエネルギー化の推進まで多岐にわたります。その一環で運営しているStartup Garageでは起業の支援を通して東三河地域全体の産業の発展に貢献しています。
そんなクリエイティビティ溢れる施設で全力で実習に取り組む中取材に応じてくれた2人はこちらです!
▼取材させていただいた方々
ファロ さん
本名:Alvaro Ferreira(アルファロ フェレイラ)
豊橋技術科学大学
応用化学・生命工学課程
工学部4年生
インドネシアから留学中
好きな食べ物:テンペ
河原 璃空 さん
豊橋技術科学大学
応用化学・生命工学課程
工学部4年生
好きな食べ物:ほっけ
インタビュー開始!
取材者
本日はよろしくお願いします。
早速ですが、豊橋技術科学大学とはどのような大学ですか?
ファロさん
技術系人材の養成に力を入れている国立大学です。また、世界に開かれた大学としてグローバル人材の育成にも力を入れていて、そのため、日本のみならず、世界各地から人が集まっています。
河原さん
大学4年次には、企業に受け入れていただき、実際に業務をこなす実習と呼ばれるカリキュラムがあり、1月から2月にかけて2か月間行われるのも技科大の特徴ですね。
取材者
2か月間もあるのですね。
大変ではないですか?
ファロさん
とても大変です(笑)
ですが、他では学べないことを学べる貴重な時間ですし、私は外国人なので日本での労働経験を事前にたくさん積めるというのはとてもありがたいです。
取材者
なぜ、実習先として株式会社サイエンス・クリエイトを選んだのですか?
ファロさん
事前に実習先一覧というものが配られたのですが、私は以前から起業をしたいと考えていたため、起業やスタートアップというキーワードで実習先の企業を探しました。その中で最も目を引いたサイエンス・クリエイトに決めたのですが、自宅からも近くて助かっています。
河原さん
これからの社会、一つの会社で定年まで迎えることの方が珍しくなるかと思われます。そんななか、将来の選択肢の幅を広げるために「起業」のノウハウを学べればなと思い、決定しました。
取材者
自分の将来の糧にするために実習に取り組んでいるのですね。
実習内容
取材者
次に実習内容について教えていただけますか?
ファロさん
はい、私たちは「Startup Garage」で起業に必要な思考法を学びながら、実践としてインドネシアの国民食である「テンペ」の日本での流通を目指して活動しております。
取材者
なるほど。テンペは初めて聞きました。
ファロさん
テンペは大豆をバナナリーフに包み、テンペ菌で発酵させた食品です。
納豆と比較されることがよくあるのですが、納豆とは異なり、ナッツのような香りでクセがなく、様々な料理に活用されます。
私の故郷のインドネシアでは肉の代用品として食べられることもあり、多くの人に親しまれています。日本人にとっての味噌のような存在ですね。
健康に気を遣っている方やベジタリアンの方にオススメなので、気になった方はぜひ調べてみてください!
調理前のテンペ(出典:テンペ-Wikipedia)
河原さん
私もファロくんと一緒に起業する共同創業者のイメージで実習に取り組んでいます。インドネシアの方へのヒアリングに付き添ったり、どういった方がターゲットになるのか考察したりと、実習期間中に起業に近づけるよう、2人で協力しています。
取材者
実習の活動において楽しかったことはありますか?
河原さん
東三河ビジネスプランコンテスト(以下、ビジコン)を見学させて頂き、様々なチームの発表を見ることができたのはとても面白かったです。
ファロさん
私もビジコンの見学は良い経験になりました。
私は将来、自分の工場を持ち起業することが目標なので、この実習で多くのことを学び、いずれビジコンに参加したいと考えています。
東三河ビジネスプランコンテストについてはこちらの記事で紹介しています。是非、こちらも併せてご覧ください。
取材者
では大学での知識で役に立ったことはありましたか?
ファロさん
実験を主にやっていたので、データ整理技術やタスク管理などは楽にできました。また、客観的に評価するためのデータの集め方や必要数などについても学んできたため、実習内で実際にデータを取って仮説検証を行う際には役立っています。
河原さん
私もファロくんと同じです。また、実習の中で時間の大切さを学びました。朝から晩まで忙しくしており、いかに効率的に時間を使うかを考えています。
取材者
ちなみに、実習の1日のスケジュールを詳しく聞いてもいいですか?
ファロさん
こんな感じです。
取材者
最後にサイエンス・クリエイトの経営理念にもある「今、未来、そしてその先へ」にちなんだ質問をさせていただきます。
ご自身の「今、未来、その先」についてどのようにお考えですか?
ファロさん
もう日本でテンペを販売している先駆者もいますが、残念ながら全然流行っていません。そこで私たちが技科大生として得た様々な知識を活用し、日本にテンペを普及させたいです。
河原さん
これからの実習で論理的思考力を身につけたいです。「こんな顧客がいるということは、こういう結果になるんじゃないか。」というような考え方が出来れば社会人になったり起業したりしても、様々な場面で活かせるのではないかと思います。
実習監督に直撃
今回の実習監督をされている、勝間亮さんにもお話を伺いました。
―― 勝間さんのプロフィールについて教えていただけますか?
勝間 私は名古屋大学の機械工学科を卒業し、宇宙ビジネスに携わりたいなと考えていました。しかし当時はスタートアップなんてほとんど存在せず、大手の研究室に行かないと宇宙に触れられませんでした。そこでロケットを消費する側にまわろうと自衛隊に入ったものの、ものづくりに携わりたい気持ちも捨てられず、輸送機器メーカーや宇宙関連のベンチャーを転々としていました。そんな中、子どもが生まれたタイミングでサイエンス・クリエイトへ転職し、衛星データを活かした業務に就いています。また、これまでの経験や視点を活かしてスタートアップガレージのコミュニティマネージャーも任せて貰っています。
勝間さんの宇宙ビジネスに関するコラムはこちら▼
―― 早速ですが、実習生のお二人は実習開始からどのように変化しましたか?
勝間 そもそも起業したくて実習に来てくれてありがたいです。ファロくんはテンペに思い入れがある分先入観を持ってスタートしましたが、現在は問題を俯瞰して見られるようになってきています。そしてこれは二人ともに言えるのですが、方法論として何をすればいいのかを整理できるようになっています。何をどう考え、どのラインを超えたら起業できるのか具体的なビジョンが見えてきているんじゃないでしょうか。
―― 実習生の印象についてお聞きしてもよろしいでしょうか?
勝間 実習では基本的に私から具体的な指示は出さず、考え方やフレームについての説明だけを行います。
そのため、実習生は自分たちの事業がどう当てはまるのかを考え、自主的に動かなければいけません。ですが、技科大生だからなのか二人とも自律的に手を動かせているだけでなく、理系ならではのロジカルな思考を持っていると感じました。感覚ではなく理詰めで動けるのは起業においては大きな強みだと思います。
―― 最後に東三河に未来についてお聞きしてもよろしいでしょうか?
勝間 地域特性をいかに生かしていくのかにかかっているかと思います。
日本全国で人口が減っている中で生き残っていくためには、一緒に成長して、ピンチをチャンスに変えていくしかありません。新しいものをどんどん受け入れて行けるようになると未来は明るいのではないでしょうか。
まとめ
今回サイエンス・クリエイトの実習生を取材することで、Startup Garageで行われている創業支援の一端を目にすることができました。
Startup Garageには、実習生の他にも多くの利用者が起業という目標に向けて活動しており、とても活気のある場所だと感じました。
起業について相談したい方やイベント・セミナーに参加したい方はぜひ創業支援施設「Startup Garage」を訪れてみてください。
企業情報
企業名 | 株式会社サイエンス・クリエイト |
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住所 | 〒441-8113 愛知県豊橋市西幸町字浜池333番地の9 豊橋サイエンスコア内 |
創立 | 平成2年10月22日 |
代表取締役 | 浅井 由崇 |
HP | 株式会社サイエンス・クリエイト |
電話番号 | (代表) 0532-44-1111 |