こんにちは。キャリコン社労士・村井真子です。
皆さんは職場で「本当は嫌だけど仕事を押し付けられてしまった」経験はありますか?
また、友人から電話がかかってきたとき、眠いからそろそろ話を終えたいのに、なかなか言い出せずにダラダラと話に付き合ってしまった経験はないでしょうか。
または、レストランで注文したのとは違う料理が出てきてしまったのに、そのまま仕方ないと食べてしまったことはありませんか?
今回はそのようなときにぜひ試していただきたいコミュニケーション方法・アサ―ションについてご案内いたします。
アサ―ションとは?
アサーションとは、自己表現の方法のひとつで、「自分のことをまず考える。しかし、同時に他者にも配慮する」コミュニケーションの方法のことを言います。自分の気持ちを率直に伝え、自分の感情や意見を大切にしながらも、相手の気持ちも尊重する発言や態度であることがアサーションなコミュニケ―ション(アサーティブ・コミュニケーション)ということになります。
アサーションなコミュニケーションとは?
先のレストランの例で、違った料理が出てきてしまったとき、あなたならどう反応するでしょうか。
①イラっとしつつも、仕方ないと諦める。そしてもうこのお店には来ない。気に入っていたお店だったのに…とガッカリする
②店員にオーダーが違っていることを怒鳴りつけ、取り換えさせる。周囲からびっくりした視線を向けられるが、そもそも間違えたのはレストランのほうだと更にイライラする
この2つの方法は、
①自分の意志を押し殺している
➁店員の気持ちは考慮していない
という点で、どちらもアサーティブ・コミュニケーションとは言えません。
①、➁の方法を選べばきまりが悪くなったり、なんだか不当に扱われた気持ちになるでしょう。
これが、あなたが自分の気持ちを尊重できていなかったり、相手からあなたの気持ちを尊重されていないと感じるときに起こることなのです。
では、この場合はどうしたらよかったでしょうか。
店員に対し、自分の注文とは違うことを冷静に伝え、その上で取り換えてほしい/このまま食べる、という意志を伝えることが出来ること。これがアサーティブなコミュニケーションです。➁との違いは店員に対する態度で、必要以上に威圧的態度になる必要はないということです。これがアサーティブ・コミュニケーションの基本的な態度です。
レストランの例では当然料理は取り換えてもらうことができるでしょうが、では、電話の例はどうでしょうか?
仲のいい友達からの深刻な相談であれば聞いてあげたい気持ちはあるが、自分としては疲れているし、そろそろ寝たい。だんだん集中力も切れてきた……というシチュエーションで、アサ―ションに伝えるためにはどうしたらいいでしょうか。
私たちには誰にでもアサーションな権利がある
「自分のことをまず考える。しかし、同時に他者にも配慮する」ということは、ひるがえせば、「自分と他人の権利を侵さない限り、自己表現をしてもよい」ということになります。この自己表現は誰かを不当に傷つけるものであってはいけません。あなたが自分を大事にするように相手のことも大事にする、ということが大切で、大事にすることの範囲は言葉、気持ち、態度に及びます。
つまり、私たちは誰もが自分以外のすべての人に尊重され、大事にされる権利があり、同時に自分以外のすべての人を尊重し大事にする権利があるのです。
ここには、他人からの期待にこたえなくてはならない、ということは入りません。
私たちはみな、誰からのどのような期待にこたえたいか、あるいは答えないかということを選ぶことができます。そして、その選択に責任を持つのは自分自身です。
ですから、先の電話の例では「ごめんね。もっと話を聞きたいけど、どうしても今日は疲れていて集中力が切れているから明日聞かせてもらえるかな?」というように交渉してもいいのです。
また、同時に私たちは間違いを犯すこともあり、そしてそれを償う権利もあります。
勿論、間違いが起きないことは大事なのですが、前提として間違わないことを置いてしまうと失敗が許されなくなり、失敗を恐れるあまり自分の感情に蓋をしてしまうことにもなりかねません。これが行き過ぎるとうつ病の原因にもなりえるため、特に大切にしたい権利です。
と、同時に私たちは支払いに見合った品物を受ける権利や、自己主張をしない権利というものも持っています。先のレストランの例では、自分が心から納得していればオーダーミスされた料理を食べてもよいし、まわりの状況に応じて黙っているということも選べるのです。
このように感情や意志、考えを相手を尊重しつつ自分のことも尊重して伝達する態度がアサーティブなコミュニケーションといえます。
まとめ
日常において、冒頭の例のようなことは日々起こりえるものです。特に、仕事の場面では採用面接を受けるときや仕事の依頼・調整など、自分の意に添わないことを質問されたり言われたりすることも多くあるでしょう。このような時に、このアサ―ションの考え方を是非取り入れて自己主張することも行ってみることをお勧めします。