転職して1年未満の短期退職は、次の転職に不利だといわれています。
一方で、すぐに退職した方がよい事例があることも事実です。では、どのような点にメリット・デメリットがあるのでしょうか。この記事では、転職後1年未満の退職について企業側のイメージや早期退職した方がよいケース、1年未満でも転職を成功させる方法を解説します。
目次
「転職して1年未満の退職」は不利?
結論からいうと、転職して1年未満の退職はマイナスなイメージを持たれる可能性が高いといえます。詳細は後述しますが、短期退職は企業側に悪い印象を持たれてしまうからです。
一方で、転職市場を見ると早期ではあるが退職し転職する選択肢も持つべきです。
実際、現在も転職市場は売り手市場なため、求職者からすると転職をしやすい状況にあります。
特にコロナ以降は有効求人倍率が増加傾向にあります。令和5年6月の有効求人倍率は「1.30倍」というデータが出ており、業界にもよりますが、採用を行いたいと考えている企業が多いと言えます。
また、厚生労働省によると「転職後1年未満で退職をする人」の割合は18.7%おり、一定数存在していることが分かります。必ずしも「1年未満の転職=悪」ではないといえるでしょう。
大切なポイントは、自身の状況をしっかり分析し、転職すべきかどうかを真剣に考えることです。
「転職して1年未満の退職」で企業に持たれる印象
転職後1年未満の短期退職について、企業側はどのような印象を持つのでしょうか。印象は企業によって異なりますが、特殊な業種でない限りは以下の点は共通すると考えられます。
採用後、すぐに退職をされると困る
企業の採用活動には、さまざまな金銭的コストがかかります。
社内の研修や採用時、労力や広告費・採用費などの経済的コストが発生します。研修においては、講師やサポート役など人員配置も必要です。
すぐに退職をされてしまうと、これまでの労力や金銭的・時間的なコストがすべて無意味になってしまいます。
転職理由は本音なのか疑われる
採用時、企業側は転職理由や志望理由を聞くケースがあります。1年未満の退職歴があると「本当の転職理由は本人に問題があるのでは」と思われてしまう可能性があります。
これは履歴書に記載している転職理由は建前で、本音を隠しているのではないかと疑いの目を持たれてしまうということです。
大げさかもしれませんが、平気で嘘をつく・信頼しにくいなど本人の人柄に問題があるというイメージを持たれてしまうリスクもあります。
ストレス耐性が弱いのではないかと思われる
ストレス耐性が低いと、さまざまなことが長続きしない傾向があります。転職して1年未満の退職は、企業側からするとストレス耐性が低いと評価をされてしまうかもしれません。
その他、失敗するとすぐ投げ出す、上手くいかないことがあるとすぐ会社を休む、体調を崩すという負のイメージにも繋がりかねません。
「転職して1年未満の退職」する主な理由
転職して1年未満の退職をする人には、それ相応の転職理由があるでしょう。具体的にどのような理由で短期の転職をするのでしょうか。
想定していた業務内容・求人条件が異なっていた
もともとは業務内容や求人条件に惹かれて入社した人も多いでしょう。
しかし、事前に聞いていた業務内容と入社後の業務内容が乖離しているケースがあります。入社を決めた理由が業務内容や求人条件のみの場合、継続して働くことが困難になるでしょう。
職場内の雰囲気が合わなかった
求人内容で分かる情報は限られていて、職場の雰囲気は分かりづらいといえます。
求人サイトでは職場の雰囲気を伝えるような工夫がされていますが、入社しないと分からない場合がほとんどです。
職場内の雰囲気が合わないと出社が辛くなります。従業員間の風通しがよい企業と思って入社したら、まったく逆だったというケースもあります。
職場での人間関係が合わなかった
人間関係は最も悩む問題です。精神的な疾患に陥りやすい原因でもあります。
職場の人々は、家族より過ごす時間が長い場合もあります。職場内の人間関係が合わないと、気持ちが追い詰められるでしょう。昨今話題になっているパワハラやセクハラなどのハラスメントは、体調を崩す原因です。
仕事を休職してしまう原因の多くは人間関係です。人間関係が悪化すれば退職せざるを得なくなり、次の転職にも支障を来たすでしょう。
「転職して1年未満の退職」するメリット
原則として、転職して1年未満の退職はマイナスイメージを持たれます。しかし、事情によっては短期退職した方がよいケースもあります。ここからは、転職後1年未満の退職をするメリットを解説します。
自分に合った仕事を早く見つけられる
自分には合わない仕事だと早期に分かっていても、「職場に申し訳ない」と考えて辞められない人もいらっしゃるかもしれません。
合わない職場で我慢を強いられるよりも、早期退職した方が自分に合った仕事を見つける機会が早く訪れます。
時間は有限で、同じ時間は二度と戻りません。思い切って早期退職して、自分に合った仕事を見つける行動力も必要でしょう。
体調を崩す前に対処できる
合わない環境で我慢して働いていると、前述した様な精神的な病気を患う恐れがあります。
特に、人間関係が悪い、パワハラやいじめなどを受けているようなケースは年々増えています。それらは健康を脅かす脅威となるでしょう。人間関係の不調で体調不良が続く場合、早期退職を検討しましょう。
社会人としての基礎的なビジネスマナーが身についている
短期間とはいえ、社会人として働いたことは大きな強みです。
新卒時に社会人としての基礎的なビジネスマナーを学びます。ビジネスマナーが身についていると、企業側にとってはポイントが高いといえます。
新卒の社員は、社会人として最低限のマナーの教育が必要です。企業からすると、新卒の研修は手間も時間もかかります。一方で、転職の社員は基礎的なビジネスマナーについてはよほどのことがない限り研修が必要ありません。採用へ有利に働く可能性があります。
「転職して1年未満の退職」を成功する方法
さまざまな事情から、短期退職をする人もいるでしょう。転職活動を成功させるには工夫が必要です。短期退職で不利にならないよう、ポイントを押さえましょう。
自身にも非があったことを認める
短期退職の原因を自身で分析する必要があります。例えば、業務内容が合わなかったときは、「合わない」と感じた要因を考えます。また、自分自身の原因についても考慮し反省をしましょう。
転職時、多くの面接官は転職に至った理由を聞きます。今までの失敗を今後どのように活かすか、マイナスな印象をプラスに転換して伝えることが重要です。面接官を、納得させるような理由を書き出しましょう。
企業の情報収集や自己分析を行う
転職では、転職の目的や動機・理由を伝えることが重要です。自分の考えをしっかり伝えるためにも、面接する企業の情報収集や自己分析は必ず行いましょう。
企業情報の情報は、求人サイトに載っている情報や企業HPから探せます。仕事のイメージ・職場の雰囲気などを調べたり、見学が可能であれば従業員の声を聞いたりすることがおすすめです。
自己分析は、自分自身を人へ伝える上で欠かせません。企業側は、「会社へどのような貢献ができるか」を見ています。企業の情報を踏まえて、自分のアピールポイントを探しましょう。
まとめ
転職して1年未満の退職には、さまざまな事情があります。転職は勇気がいる行為であり、「次の転職先は慎重に選びたい」と思う人も多いでしょう。
採用企業側が感じる「1年未満の転職」のデメリットを理解し次の転職活動に活かすことが大切です。転職理由、求人・企業情報などをしっかり調べ整理をして転職活動につなげましょう。