豊橋市_給与明細

はじめての給与明細、見るべきポイントは?

村井社会保険労務士事務所代表の村井です。

4月は始まりの季節。新社会人となられた方や、新しいアルバイトをスタートさせた方、初めての給与を受け取ることになる方もたくさんいらっしゃることと思います。
本日は、給与とセットで受け取ることになる「給与明細」についてご説明させていただきたいと思います。

給与支払明細書

1)給与明細って何?

給与明細とは給与支払明細書の略で、簡単に言うと「その給与がどういう内容で支払われたか」について書かれた説明書です。

求人票で見た金額と実際に手にした支給額が違ってがっかりした経験はないでしょうか?これは、「総支給額」と「手取り給与額」との違いによっておこる現象です。この総支給額が手取り給与にどういう理由で変わっていくのかを記載した書類が、給与明細なのです。
なお、会社や事業主は雇用する労働者に「月1回以上給与を払う」ことが労働基準法によって定められているため、週給制など月に2回以上給料日のある会社もあります。

2)支払われるもの(支給の部)について

その人の給与額として決定されている金額を、総支給額といいます。総支給額は一般的に基本給と手当から構成されます。

① 基本給

給与の基本をなす金額です。時給制、日給制、月給制、年棒制などの決め方があり、自分がどの給与形態で仕事をすることになるかは求人票や雇用契約書などで確認できます。

基本給の計算式

基本給はすべての給与のベースとなる金額であり、残業や休日労働をした場合の支給額も基本給を基準に算定します。給与明細においては、賃金計算期間(給与の算定対象となる期間。給与締日の翌日から次の締日までの期間)ごとに、下記のような計算にて基本給を計算した額が計上されています。

② 手当

手当は基本給に付随して支払われるもので、項目・内容などは会社が自由に設定できます。
代表的なものとしては通勤手当、家族手当、業務手当など。業務手当は固定残業代(一定時間の残業代としてあらかじめ支払うことを予定しているもの)として支払われている場合もありますので、それぞれの手当がどのような条件で支給されているのかは就業規則や雇用契約書等で一度は確認しておくことをお勧めします。

また、先述した固定残業代とは別に、通常残業した場合に支払われる残業手当、深夜に仕事をした場合の深夜手当、休日出勤した場合に支払われる休日手当などもあります。こちらはそれぞれ基準となる計算式が法律で定められており、それに従って支払われますが、会社により独自の上乗せルールを定めているところもあります。

給与明細_賃金計算
給与明細_手当計算

ここまでが支給されるものの内容(=総支給額)のご説明になります。
そして、この給与から保険料などが控除され、実際に受け取る手取り給与額になるのです。

次は、この控除されるもののうち、代表的な項目について見ていきたいと思います。

3)総支給額より控除されるもの(控除の部)について

① 健康保険料

健康保険料は社会保険料の一部で、会社が加入している医療保険制度の保険者(運営者)に対して支払うものです。これにより保険証が付与され、保健医療を受けることができます。
保険料は原則として個人の給与額に応じた金額を会社と個人が折半して払うことになっているため、給与が高い方は相応に保険料も高くなります。また、40歳以上65歳未満の方は健康保険料と同時に介護保険料も控除されます。これは、高齢者など介護が必要な方に対する社会保障のための費用の拠出金です。

② 厚生年金保険料

厚生年金保険料は社会保険料の一部で、厚生年金保険の積立金として支払うものです。厚生年金は国が運営する制度であり、健康保険料と同様に個人の給与額に応じた保険料を会社と個人で折半して支払うことになります。
この保険制度に加入することで、将来老齢年金を受け取れたり、遺族年金や障害年金など不慮の事態に備えておくことができるのです。

③ 雇用保険料

雇用保険料は労働保険料の一部です。給与の総支給額に対して定められたパーセンテージをかけて算出した額が控除されており、令和3年度は一般の事業で徴収額は会社・労働者ともに総支給額×0.3%です。
こちらは失業した場合に貰える失業等給付(いわゆる失業手当)や、就業中に資格取得などを行った場合に受けることができる教育訓練給付金などの原資となっています。

④ 住民税

自分が住んでいる自治体に対して支払う税金です。基本的には前年の所得に応じて決定された金額を納付することになるため、新入社員の方は控除されないケースが多いでしょう。
勤務2年目以降であったり、勤労学生の方などで前年の所得がある場合は、特別徴収といって会社に勤めている方については会社が本人に代わって代理で金額を徴収・収めることになるため、この控除が発生します。

➄ 所得税

その年1年間の給与の総額に応じて徴収される税金です。総支給額から社会保険料など一定の項目を控除して算定された課税所得金額に所得税率をかけて算出された金額を控除しています。払いすぎた所得税や足りない所得税については年末調整・確定申告などで還付・追加納付する仕組みになっています。

まとめ

以上、代表的な給与明細の項目について説明しました。

現在は振込で給与を支給する会社が多く、明細もweb 明細などで確認を求めるケースも増えました。とはいえ、内容を証明する大事な書類ですから、給与の受け取りのたびに一度は給与明細を開いて項目を確認しておく癖をつけておくことをお勧めします。