分散型ホテル愛知県東三河

新しい宿泊スタイルとして注目される「分散型ホテル」をご存知ですか?

旅の新しいスタイルとして注目を集め、地域再生の切り札としても期待されています。

この記事では分散型ホテルについての解説や東海にあるスポットなどをご紹介していきます!

分散型ホテルとは?

分散型ホテルとは、客室・フロント・食堂などをひとつの建物に集約するのではなく、街や集落の中に点在させて一体的に運営する宿泊の仕組みです。まるで町全体がホテルのように機能するため、滞在中の移動そのものが「まち歩き」や「地域体験」となります。

多くの場合、廃屋や空き店舗、古民家などをリノベーションして活用するのが特徴で、景観を守りながら新たな命を吹き込む取り組みでもあります。観光資源としての価値を再発見するだけでなく、地域に眠る建物や文化を未来へつなげる手法としても注目されています。

旅行者にとっては、ホテルの中だけで完結する滞在ではなく、地域の暮らしや歴史に自然に溶け込む「暮らすように泊まる」体験ができるのが魅力です。一方、地域にとっては空き家問題の解決や、地元の商店や飲食店への来訪者増加を通じた経済効果、さらに交流人口・関係人口を増やす契機にもなります。つまり、分散型ホテルは観光と地域再生を同時に実現できる新しい宿泊スタイルといえるでしょう。

分散型ホテル_

世界に広がるルーツ「アルベルゴ・ディフーゾ」

分散型ホテルの原型とされるのが、イタリアで生まれた 「アルベルゴ・ディフーゾ(Albergo Diffuso)」 です。直訳すると「分散したホテル」という意味で、1980年代に地震で被害を受けた村の復興策として始まりました。

アルベルゴ・ディフーゾの普及を推進する団体 「アルベルゴ・ディフーゾ・インターナショナル(ADI)」 は、以下のような認定要件を定めています。

  • レセプション(フロント)を中心に、客室・食堂・共用施設などが おおむね半径200m以内 にまとまっていること
  • 単一の経営体 が一括して運営していること
  • 古民家や歴史的建物を活かしつつ、宿泊者に快適な滞在環境を提供していること

これらの基準によって、単なるバラバラの民泊ではなく「まち全体をひとつのホテルとして体験できる」統一性が保たれています。

イタリア国内では山間部の小さな村から観光地まで広がり、現在では100を超える認定施設が存在するのだそうです。

成功事例としてはサルデーニャ島やフリウリ地方の村などが有名です。廃れかけた集落がアルベルゴ・ディフーゾの導入によって観光客を呼び込み、地元の食文化や伝統工芸を活かした観光コンテンツと結びつけることで再び活気を取り戻しました。

「地域の暮らしを体験する」ことが旅の魅力として世界的に評価され、持続可能な観光のモデルケースとなったことから、イタリア国外でも同様の仕組みが採用され、日本を含む各国で「分散型ホテル」という形で展開が進んでいます。

東海の分散型ホテル事例

分散型ホテルの事例

東海初の分散型ホテル「NIPPONIA美濃商家町」

岐阜県美濃市の歴史的な町並みに誕生した 東海地方初の分散型ホテル が「NIPPONIA美濃商家町」です。和紙原料問屋の別邸をはじめとする古民家3棟を改修し、中庭を囲む主屋や隠し部屋・ドッグラン付きの客室など、それぞれの棟に趣向を凝らした空間が広がり、旅のスタイルに合わせた滞在が可能です。

さらに地域ならではの体験プログラムも用意され、宿泊を通じて地域文化に触れられるのが大きな魅力です。

城下町の文化財に泊まる分散型ホテル「宿-SHUKU-」

愛知県犬山市の城下町に2025年3月に開業した「宿-SHUKU-」は、国登録有形文化財である住宅2棟を活用した分散型ホテルです。建築の骨組みや欄間・土壁などは極力保存しつつ、現代的な水回りを整備しています。

文化財を守りながら宿泊施設として再生されたこのホテルは、町並み保存と観光振興を両立する新しいモデルとして注目を集めています。

東三河初の分散型ホテルになるか?ホタルヤプロジェクト

豊橋市南栄町では、かつて地域で親しまれた写真館「ホタルヤ」が、民泊施設として生まれ変わろうとしています。

この「南栄エリア」は特徴的なカルチャーを持ち、地域ならではの飲食店やスポットなど”暮らし”に密着した楽しみ方ができ、分散型ホテルに適した場所なのではないでしょうか。

現在は地域有志によるDIYや見学会を重ねながら改修が進行中です。もしかすると今後、他の宿泊拠点やスポットも生まれて分散型ホテルのようになるかもしれませんね。

分散型ホテル豊橋

まとめ

分散型ホテルは、単なる宿泊施設ではなく「地域そのものを舞台とした滞在体験」を提供する新しい宿泊スタイルです。イタリアで生まれたアルベルゴ・ディフーゾが示すように、空き家や歴史的建物を活かしながら観光と地域活性を両立できる点が世界的に注目されています。

日本国内でも分散型ホテルは増えており、東海地方にも興味深い事例がありましたね。東三河にはまだ分散型ホテルの事例はありませんが、芽となる可能性を秘めているプロジェクトを知ることができました。

あなたの住む地域でも、分散型ホテルの可能性を考えてみませんか?