奥三河、起業への熱量

寒くなり、鮮やかな秋の木々に新しい表情を見せる奥三河。
そんな季節の変化に左右されず、多方面から、今、奥三河がアツいという話をよく聞く。
しかし、本当にそうなのか?近いようで少し遠くに感じていた奥三河。
 
奥三河のことをもっと知りたいと思っていたタイミングで「第三回奥三河若手起業家プレゼン大会」という、これまたアツい大会を開催するという案内をいただいたので、早速その現場を見てきた。
 
 

 
奥三河若手起業家プレゼン大会とは、奥三河4市町村(新城市、設楽町、東栄町、豊根村)で起業に向けてチャレンジしたい人がそれぞれのビジネスプランを発表する大会だ。
安形さんが代表を務めるアグリホリックが主催となり、国の有形文化財「大野宿 鳳来館」を会場に、今回は3名の方がそれぞれのアイディアを発表した。
 

 
大会は、安形さんの趣旨説明から始まり、第一回若手起業家プレゼン大会にて発表した、danonの金城さんの現在の取り組みについての報告が行われた。
 

 
先輩発表者の頑張る姿とエールを受け、3人の発表へと進んだ。
発表者は10分間で簡潔に自分の考える事業を説明し、その後、審査員との質疑応答を行う。
全員の発表が終わると、審査員と来場者から投票を受けて、最優秀プレゼンを決定する仕組みだ。
 

発表内容

 

建築家、永田祥知さん
「家と地域の物語を伝える『聞き語りの家守』」
 
 

名古屋コーチン農家、森田泰史さん
「食べて!!俺の名古屋コーチン」
 
 

東栄町地域おこし協力隊、角千佳子さん
「遊休農地利活用ハーブ農園」
 
 
3人の発表は、自らの経験をもとにした事業プランで、どのアイディアもこの地域にこんなのが出来たら楽しいだろうなあというものばかりであった。
 
この大会のすごいところは、この奥三河という地を愛する挑戦者たちとその挑戦者たちを支える周囲の皆さんの熱量と言えるのではないだろうか。
奥三河という、一見若手の起業家とは疎遠な土地と思われがちな場所にもかかわらず、実際の起業を目指した発表の場を継続して催せるのは、並大抵のことではない。
刺激的な言い方をすると、人口が減少し都市としての機能が果たせなくなる可能性を持つ場所で、本気で次のビジネスを行っていくという話し合いをしているのだ。
 
第3回若手起業家プレゼン大会のHPを見ると、このように書かれている。
 

 
まだ間に合う今だからこそ、時代に合わせ地域も変化していかなければなりません。
その重要なキーワードは「挑戦」です。
新しくコトを起こす起業家や、新たな領域に挑戦する既存企業。
そして今後生き続けていく若者にスポットライトを当て、彼らだからこそ描ける新しい地域の将来像を地域で共有したいのです。
出典:第3回若手起業家プレゼン大会より抜粋

 
ビジネスをするにあたり、数を求めて人の集まるところに出て行くのは簡単だが、この地を愛し、ここで何かやっていきたいという挑戦者の本気の想いと、
先を見据え、若い世代の力で地域の活性につなげようという、主催者側の本気の想いが高いレベルで合致しないとなかなかできることではない。
 

 
また事務局の方々のフォローもさることながら、前回この場でプレゼンを経験した先輩方がコーディネーターとなり、資料作りなどさまざまな面で発表者を支えている姿がこの大会の魅力と言えよう。

そしてその本気度が伝わり、当日の会場にはたくさんの来場者が、若手の挑戦を真剣に聞いている姿があった。特に地域に住むご高齢の方も、頷くように聞いているのがとても印象的だった。
 

支える環境

 
そんなアツいプレゼン大会で、ひときわアツい眼差しで会場を見つめる、背の高いSPのような方がいた。
 
この人だ!!
 
この人からなら、奥三河のアツさの核心に迫れるのではないかという感覚を覚え、

大会から数日後、早速その人物に直接インタビューをさせていただいてきた。
 

安形 真さん
合同会社アグリホリック:代表社員
大野宿鳳来館を運営
元、探偵。

 
今回の奥三河若手起業家プレゼン大会の主催であるアグリホリックの安形代表だ。

過去には探偵事務所で働き、現在は農業やカフェまでを手がける多才さを見せる安形さん。
 
安形さんとのインタビューは、意外な言葉から始まった。
 
いきなり今回の大会のダメ出しから始まったのだ。
しかも他人のではなく自分の。

私の目から見た、大会当日の様子は、

最後に審査員からも事務局の頑張りを称えられ、スタッフ全員に対して会場から拍手が送られるなど、とても良い運営に見えた。
 

 
ましてや、アツくなり、締めの言葉の後も大会の想いを告げマイクを離さない安形さんに、悪いところなど感じられなかった。

反省の内容を一言で言うと、2か月前からもっともっと発表者に寄り添ってあげるべきだったというものだ。

その話しを聞いて、私は素直にあそこで発表できることが羨ましいなあと感じた。

ボランティアとして無償の活動で、もちろん仕事を他に持っている中で、1回ぐらいの活動なら「物好きなお節介な人」かもしれないが、自己の仕事をしながら3年目を迎え、まだなお反省している姿から安形さんの本気度が伝わって来る。

何か新しいことを始める時は、相応の勇気がいる。

その時、あんな本気で支えてくれる人がいるのはとても羨ましいなあと感じてしまう。
 

 
一方で、クールに見える安形さんの過去の話しを聞くと、失敗もたくさん経験しており、コツコツと今の形になっていったと教えてくれた。
大学を卒業後、私立探偵をしていたという話しはさすがに驚いた。
しかしその経験が、一度の失敗で潰れてしまわないようにと、
安形さんのできる若手の起業家に向けた取り組みが、起業家プレゼン大会になったのではないだろうか。
 

終わりに

私も起業したばかりだが、事業の開始を決断する時は想像以上に勇気が必要となる。

その点、「奥三河若手起業家プレゼン大会」のように発表を通じで、事務局はもちろん、審査員や地元の方をはじめたくさんの来場者に勇気をもらえる環境を作っている、奥三河はとてもアツかった。

せっかくできた、その環境で、何をするか。
あとは自分の「覚悟」が大切なんだろう。