豊橋百儂人

日本有数の大農業王国、東三河地域。
この地で、先代から受け継いだ食農文化を後世に受け渡そうと、良き伝統を守りつつも革新的努力をし続ける団体がいる。
 
彼らは、「真」の農業経営者となるべく切磋琢磨する生産者を「豊橋百儂人(とよはしひゃくのうじん)」と認定し、活動の主旨に賛同してくださる応援者(サポーター)の皆様と共に、生産者、消費者が一体となった活動を目指している。
 
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そんな、豊橋百儂人の生産者一人ひとりの農園にお邪魔して、努力と技術で作った生産物を調査し、豊橋百儂人とは何か?農業とは何か?食べるとは何か?

その答えを探してきた。
 

これまでの百儂人

 
■鑑賞花儂人/中村孝康(菜ッ花園)
 http://tasuki-inc.com/kanshoubana/

■蕃茄儂人/鈴木教広(鈴木農園)
 http://tasuki-inc.com/suzukinoen/

■養蜂儂人/鈴木良近(鈴木養蜂園)
 http://tasuki-inc.com/suzukiyouhouen/

■柿儂人/鈴木義弘(百年柿園 ベル・ファーム)
 http://tasuki-inc.com/bellfarm/

■黒子儂人/清水貴裕(都デザイン)
 http://tasuki-inc.com/100noujin01/

■茶儂人/後藤元則(ごとう製茶)
 http://tasuki-inc.com/gotoseicha/

柿儂人/鈴木義弘(百年柿園 ベル・ファーム)

 

 
標高100m、遮るものが何も無い綺麗な空と、心地よい風に、緑の葉。
豊橋市石巻小田野町の、ひときわ急な傾斜に、力強く成る「次郎柿」。
今日は、この果樹園の生産者であり、豊橋百儂人の柿儂人でもある、百年柿園 ベル・ファームの鈴木義弘さんのところに伺った。
 

百年柿園 ベル・ファーム 5代目
豊橋百儂人 柿儂人
鈴木 義弘(よしひろさん)
柿の時期:9月〜12月

 
豊橋百儂人の中でも、特に真面目で頭の切れる義弘さん。
農業のことや柿のことなら日本のどこにでも行って学んでくる、熱心さだ。
さっそく、そんな義弘さんに「柿」について伺った。
 

甘柿の王様、次郎柿

 
ー ー ー とても見晴らしの良い柿園なんですね。
 
ありがとう。
晴れて風が吹くととても気持ちがいいよね。
 

 
当柿園は、この山地以外にも、石巻地区内に5箇所の果樹園(圃場)を構え、それぞれの地形や特徴に合った柿の栽培を行っています。
当園は昭和30年代に観光果樹園を営んでいましたが、昭和40年代には柿の生産量が増加したことで、都市部へ柿を送る生産にシフトし、発展してきました。
今では、甘柿の王様とも言われる「次郎柿」の生産量で日本一の地域とされています。
 
 
 
ー ー ー そもそも次郎柿とはどのような柿なのですか?
 
「次郎柿」とは、扁平で四角っぽい形が特徴の甘柿です。10月〜11月に収穫され、種はほとんどなく、上品な風味で、肉質は緻密、こりこりとした歯ごたえがご好評いただいております。
1844年に松本次郎吉さんが太田川の改修工事をしていると、川上から流れてきた柿の苗木を拾って植えたのが始まりとされている柿です。
 

 
代々100年に渡り、柿を生産する百年柿園 ベル・ファームは、この「次郎柿」をはじめ、西村早生、早秋、富有といった様々な種類の柿を栽培しています。
特に、次郎柿の生産量は多く、品質の良さも好評であることから、過去には宮内庁に献上させていただいたこともあります。
 

桃栗3年、柿8年?

 
ー ー ー 桃栗3年、柿8年なんて話を聞いたことがあるが、本当なんですか?
 
今、柿は8年もかからずに生産できますよ。
けど、それぐらい育つまで大変という意味ではあっている言葉だね。
 

 
 
 
ー ー ー そんなに大変なんですか?
 
甘くて、美味しくて、太い柿を作ろうと思うと、果てしない作業が続きます。
特に剪定作業などは、どの枝を切るのかなど、相当の経験も必要とされるので、人手がいればできるというものでもないので大変です。日々、柿の様子を観察しながら適切な判断が求められます。
 

 
しかし、一方で柿の生産者は、年を重ねるごとに高齢化が進んでいきます。
このまま行けば、生産できなくなる果樹園も出てくるかもしれません。なので、私たちが今やらなければいけないのは、そんな栽培管理の体制を変えて、少しでも栽培しやすく、かつ質の良い柿を作る方法を開発していくことだと考えています。

例えば、剪定作業をマニュアル化させるなどをして、次の世代の柿を守っていかなければならないと感じています。
 

 
 
 
ー ー ー ポット栽培という栽培方法にも挑戦しているんですよね?
 
はい。
ポット栽培とは、大きめの鉢に果樹を植えて栽培する方法です。
この方法は、果実の品質が非常に良く、新品種の早期成園化や高付加価値果実の生産に向いているということで、意欲的な生産者によって取り組まれています。
ポット栽培については、まだまだ勉強中なところもありますが、質の向上など良い成果も見えているので、生産体制の確立に向けて進めていきます。

そのような取り組みによって、石巻地区がこれからも良い柿を作る場所になって行ければと思っています。
 

 
 
取材の中で、切った木から新しい芽が力強く生える柿の木を見つけた。
このような生命のサイクルを身近で見て・感じている義弘さんだからこそ、次の代のことまで考えた運営がなされているのだろうと、妙に納得してしまった。
 
 
【会社概要】
百年柿園 ベル・ファーム
代表:鈴木義弘
愛知県豊橋市石巻小野田町字下切田31
0532-88-2932
http://www.tees.ne.jp/~bellfarm/